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唯一体制急ぐ北朝鮮、金正恩偶像化に拍車

コリア国際研究所所長 朴斗鎮

2015.3.2

 北朝鮮は2月に入って、10月の朝鮮労働党創建70周年と日本の植民地からの解放70周年を目指した「金正恩唯一領導体制確立」強化作業に突入した。
 今年を金正恩偶像化の決定的年とすることは、新年の辞で打ち出していた①党の思想教育と戦闘力強化②国防力と軍の強化③経済力の強化方針から推察されていたが、2月に入ってその作業は本格化している。

1、重要会議で金正恩の偶像化と唯一領導体系を強調

 2月に入って、北朝鮮では金正恩の偶像化作業と権力集中化作業に拍車がかかっている。
 2月10日にまずは朝鮮労働党中央委員会政治局会議が開催された。政治局常務委員、政治局委員、政治局候補委員が参加したこの会議では、政治局決定として「朝鮮労働党創建70周年と祖国解放70周年を、偉大な党の領導のもとで、強盛繁栄する先軍朝鮮の革命的大慶事として迎えることについて」が採択された。
 決定書は▲金日成主席と金正日総書記の業績を輝かすこと ▲党の強化、党と革命隊伍の団結強化 ▲先軍革命路線で国防力強化 ▲強盛国家建設のすべての戦線での飛躍 ▲祖国統一実現と国際連帯強化 ▲党創建 70周年と光復 70周年慶祝行事を盛大にとり行う ▲決定貫徹での党組織と政治機関、該当政府機関の行政実務対策などの7項目からなっている
 この決定に続き11日には310にのぼるスローガンが政治局と中央軍事委員会の共同名義で発表された。
 続けて2月18日には、金正恩が第1書記になった後3回目となる党中央委員会政治局拡大会議が開催された。政治局常務委員、政治局委員、委員候補が参加し、内閣副総理、党中央委員会部長、第1副部長、該当部署の課長、各道党責任書記と委員会、省・中央機関、勤労者団体、武力機関の責任幹部がオブザーバーとして出席した。
 この会議では、①金正日総書記の遺訓をわが党と革命の永遠なる指導指針としてとらえて最後まで貫徹することについて②組織問題について、が討議された。
 第1議題は崔龍海常任委員が報告した。報告では張成沢粛清や金日成や金正日の偶像化展示物の整備、娯楽施設などの建設が過去3年間の成果として強調され、これを金正日の遺訓を徹底的に守った金正恩の業績として称えた。そのうえで金正日の遺訓貫徹を永遠の指針とし、その遂行のために金正恩の偶像化と絶対権力確立を今年中に成就させるよう義務付けた。
 また、2月22日には中央軍事委員会拡大会議を開き、軍に対する金正恩の統帥権を一層強化し、金正恩の命令がより迅速に貫徹されるよう軍の改編が決定された。 党中央軍事委員会拡大会議の開催は昨年4月末以来、約10カ月ぶりだった。
 金正恩はこの会議で、昨年人民軍の活動において現れた偏向について指摘し、朝鮮人民軍が恒常的にとらえていくべき戦略的路線と革命武力の強化発展のための課題と方途を明示したとされたが、具体的内容は明らかにされていない。
 具体的内容は示されなかったが、「偏向」については、馬園春(マ・ウォンチュン)国防委員会設計局長、辺仁善(ピョン・インソン)朝鮮人民軍総参謀部第1副部長兼作戦局長などが粛清された経緯から見て、朝鮮人民軍と中国の関係であった可能性が高い。馬局長は順安空港国際線ターミナルビルの新築工事で「民族性を発揮できなかった(注:中国のものを模倣した)」と労働新聞紙上で批判されてから公式の場から消えているし、辺総参謀部第1副部長は、中国との関係維持を強調したために粛清されたと推察されている。


2、軍への統帥権を強化する金正恩

 

 金第1書記は中央軍事委員会拡大会議で「最高司令部の戦略的企図を実現できるよう機構体系を改編するための方向と方法」を提示したとされるが、機構体系改編の具体的内容については公開されなかった。
 今年に入っての北朝鮮動向の一つの特徴は、一言で言って、金正恩偶像化を一層強化して軍を金正恩の軍に作り替えることと、軍への指揮命令迅速化のための組織改編および訓練の強化にある。また新型戦術武器のデモンストレーションを行い、戦争が臨迫している雰囲気を作り出している。
 こうした流れの中で、政治局拡大会議や中央軍事委員会拡大会議が開かれた。昨年末に辺仁善が更迭され、最近も海軍司令官の金明植が更迭されたこともこうした流れのなかでの出来事と思われる。

1)軍首脳部再編も視野に

 辺総参謀部第1副部長兼作戦局長は、中国とのコネクションがある軍装備調達責任者の交代を金第1書記に命じられ、「対中関係が難しくなる」と諫言したことが逆鱗に触れたと伝えられている。普通の国家では他愛のない問題であるが、金第1書記は、目立ちたがり屋で、自分の感情に合わないと逆上し、その上即興的即断が多いと言われている。そうしたことから、これまでも気に入らない幹部に対しては、核心級幹部といえども些細なことを問題視していとも簡単に幹部の更迭を行っている。この人事権の乱用に対してはまだ正面切って反旗を翻す動きは見られないが、不満はたまりつつある。他方で幹部たちの間の面従腹背、ことなかれ主義なども蔓延し始めている。
 金第1書記はいま「米帝とは必ず戦うことになる」と強調して、「その戦争の遂行方式と作戦戦術的問題」を云々し、今年10月までに「万端の戦闘動員態勢を確立せよ」と檄を飛ばしている。しかし本音は戦争することにあるのではなく、緊張を煽ることで求心力を高めようとしているのであろう。それは今年1月の朝米接触で米側に韓米軍事演習の縮小を打診していることからも推察できる。
 今回の会議でも「国家防衛事業全般に一大転換を起こすために重要な戦略的問題が討議され、組織問題が取り上げられた」としている。たぶん軍首脳部人事も行われたと考えられる。昨年4月の拡大会議以降も、軍序列1位の総政治局長が崔竜海から黄炳誓に代わるなど、軍首脳部の再編があった。
 こうしたことを示唆するように、金正恩が「戦勝記念館」内に新しく作られた「近衛部隊館」視察を視察した際、幹部の随行序列を、黄炳瑞、崔龍海の順で紹介した(朝鮮中央通信2月28日報道)。これは黄炳瑞の序列が再び崔龍海を追い越したことを示唆するものだが、黄炳瑞が党中央政治局常任委員に就任した可能性もある。
 もしそうであれば、これは「最高司令部の戦略的企図を実現できるよう機構体系を改編するための方向と方法の確立」(軍事委員会拡大会議)のための人事措置だったと思われる。また黄炳瑞が崔龍海より前に紹介されているということは、党の中での軍の地位が高まったことも意味する。
 その他の軍人事では、張正男(チャン・ジョンナム)と辺仁善(ピョン・インソン)の軍事委員解任が行われたであろう。それを補充する人事として玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長、キム・チュンサム第1副総参謀長(新)などが新たに任命された可能性が高い
 しかし仮にこうした人事で金第1書記の思惑通りに軍の組織再編が行われたとしても、緻密に準備した形跡が見られないために、その過程では必ずほころびが出て新たな問題を発生させるに違いない。中枢部から専門性の高い指揮官が排除され、媚を売る政治軍人が回りを固め始めているからだ。

2)今年に入って頻繁に行われた金正恩の軍事訓練視察(昨年との比較)

 金正恩第1書記は、自己の軍事的「才能(注:軍事オタクに見られている)」を見せびらかすかのように、年初から頻繁に軍を視察し、「各種新型武器実験」を行わせ、「戦術的軍事訓練」を指導している。この点は昨年と明確に異なる。
 これも軍に対する統帥権強化の一環と見られるが、新型戦術武器と戦術的訓練の強化を見せることで「いつでも米韓と戦う用意はできている」との「戦争挑発デモンストレーション」でもあると思われる。昨年1~2月の動向と今年1~2月の動向を比較してみれば、その違いがはっきりとわかる。

 

①2014年1~2月の金正恩視察と重要会議

1月
[2014/01/01] 新年の辞
[2014/01/01] 錦繍山太陽宮殿を訪れる。党中央指導機関のメンバー、武力機関、省・中央機関の責任幹部、党中央委員会の幹部が共に参加した。
[2014/01/07]  新設の水産物冷凍施設を視察 朝鮮中央通信
[2014/01/12]  朝鮮人民軍534部隊指揮部訪問 朝鮮中央通信
[2014/01/15]  国家科学院視察 朝鮮中央通信
[2014/01/23] マドゥサン革命戦跡地視察 朝鮮中央通信
[2014/01/28]  第323軍部隊の軍人と共に記念写真を撮る 朝鮮中央通信

2月
[2014/02/04] 育児苑と愛育園訪問 朝鮮中央通信
[2014/02/10] 全国農業部門分組長大会 朝鮮中央通信
[2014/02/12] 競技用銃弾工場とメアリ射撃館を視察 朝鮮中央通信
[2014/02/15] 労農赤衛軍指揮官熱誠者大会 朝鮮中央通信
[2014/02/15] 金正日誕生72周年中央報告大会
[2014/02/15] 錦繍山宮殿参拝 軍指揮官のみ
[2014/02/18] 光明節祝賀功勲国家合唱団公演観覧 朝鮮中央通信
[2014/02/18] 海軍指揮部と航空及び対空指揮部体育競技 朝鮮中央通信
[2014/02/20] 朝鮮人民軍11月2日工場を再訪問 朝鮮中央通信
[2014/02/20] 1月8日水産事業所建設場を訪問
[2014/02/24] 金正恩が松涛園国際少年団野営所を訪問 朝鮮中央通信
[2014/02/24~25] 第8回党思想活動家大会参席

②2015年1~2月の金正恩視察と重要会議

1月 (日付は朝鮮中央通信報道日)
[2015/01/01] 新年の辞
[2015/01/01] 新年に際して、錦繍山太陽宮殿を訪ねる。軍指揮官のみ
[2015/01/02] 新年を迎える平壌育児院、愛育院の子供たちを祝う
[2015/01/07] 前線軍団第1梯隊歩兵師団直属の区分隊の無反動砲の砲撃競技大会を指導
[2015/01/10] 新たに建設した平壌市キノコ栽培工場を現地指導
[2015/01/12] 故金順任女史の霊前に花輪を送る
[2015/01/13] 航空および対空軍の指揮部を視察
[2015/01/16] 江東精密機械工場を現地指導
[2015/01/18] 金カップスポーツマン総合食品工場を現地で指導
[2015/01/21] 柳原製靴工場を現地指導
[2015/01/24] 近衛第1航空および対空師団管下の追撃機、爆撃機連隊の飛行戦闘訓練を指導
[2015/01/27] 装甲歩兵区分隊の冬季渡河・攻撃演習を組織、指導
[2015/01/30] 洗浦地区畜産基地の建設を推し進め、畜産業の発展に新たな転換をもたらそう
[2015/01/31] 敵の海上目標に対する軍種打撃訓練を組織、指導
[2015/01/31] 元山製靴工場を現地指導

2月
[2015/02/02] 戦闘飛行士たちと共に記念写真を撮る
[2015/02/02] 人民武力部の器具・工具展示会場を視察
[2015/02/02] 2014年度建設状況総括のための軍事・政治幹部会議の参加者、重要建設に寄与した人民軍内の功労者と共に記念写真を撮る
[2015/02/05] 平壌化粧品工場を現地指導
[2015/02/07] 最先端水準で開発された新型対艦ロケットの試射を見る
[2015/02/08] 朝鮮人民軍海軍第597軍部隊管下10月3日工場を現地指導、近代化の課題を提示
[2015/02/10] 金正恩参席の下、朝鮮労働党中央委員会政治局会議開催
[2015/02/11] 元山市の育児院、愛育院、初等学院、中等学院の建設現場を視察
[2015/02/12] 第8建設局の建設者と共に記念写真を撮る
[2015/02/15] 未来科学者通りの建設現場を現地指導
[2015/02/16] 朝鮮人民軍指揮メンバーの軍事称号昇格に関する命令を下達
[2015/02/16] 錦繍山太陽宮殿を訪ねる。軍指揮官のみ
[2015/02/19] 金正恩参席の下、党中央委員会政治局拡大会議がおこなわれる
[2015/02/21] 島に対する火力打撃および占領のための演習を組織、指導
[2015/02/23]  金正恩参席の下、朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議
[2015/02/28]  金正恩が祖国解放戦争勝利記念館に新設した近衛部隊館を視察
       黄炳瑞の序列が再び崔龍海を追い越す。

以上

 
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