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2006.9.30

対立深まる朝日関係

 北朝鮮による2006年7月5日の「ミサイル連射」をキッカケに朝日関係は、これまでにない緊張関係となった。こうした中で、朝鮮総連に対する日本政府と日本社会の風当たりも強くなっている。
 今年に入っての日本政府による北朝鮮と朝鮮総連に対する規制強化は次のようなものがある。

2006・03・12
 日本から北朝鮮に向けた国際郵便のうち、現金送付が可能な保険付き郵便物の検査を強化し、不正送金の防止に取り組む方針を固めた。
 北朝鮮への郵送による送金は、保険付き郵便物(限度額48万円)に限り認められており、04年度は前年度の約3倍の1560通に急増、外貨獲得手段と指摘されている。限度額を超えた送金の可能性もあるとして、郵便法に基づく郵便局窓口での「引き受け検査」で送金主への金額確認を徹底し、場合によっては郵便物の開封も求める。年間の送金総額など実態把握も行う。

2006・04・01
  日本総務省は、朝鮮総連関連施設に対する固定資産税の減免措置について、各自治体が公益性の有無を厳正に判断するよう求める1日付の事務次官通知を各都道府県知事あてに送った。全国139自治体のうち90自治体が朝鮮総連の中央・地方本部や支部を「公民館や集会所に準じた施設」などとみなして税の全額または一部を免除しているが、通知はその見直しを事実上求めたものだ。

2006・04・19
 財務省は5月1日から日本に寄港する外国船舶乗組員が私的な土産として口頭の申告だけで簡単に国外に持ち出すことができた中古品の「携帯輸出」について、申請書類の提出を求めるなど手続きを厳格にすることを決めた。
 財務省関税局によると、これまで船舶乗組員は私用目的の物品のほかにも30万円以内の物品であれば口頭で申告するだけで通関でき、乗組員が中古の電化製品や自転車などを大量に国外に「携帯輸出」することが可能だった。今後書面で申告し、許可を得ることが必要になる。

2006・05・08
 韓国の大韓貿易振興公社(KOTRA)は8日、北朝鮮の2005年の貿易実績をまとめた。それによると、対日輸出は前年比19.7%減の1億3111万ドル(約146億円)、輸入は同30.0%減の6250万ドル(約70億円)で、ともに大幅に落ち込んだ。
 日本政府が、北朝鮮の主な輸出品であるアサリの原産地表示や、日本製工業製品の軍事転用を防ぐために「キャッチオール規制」の適用を強化したことが大幅減の主因としている。北朝鮮製品に対する日本の消費者のイメージが悪化し、繊維製品などの輸出が減ったことも響いた。 

2006・06・16
 日本の北朝鮮人権法が成立。北朝鮮人権法は、ら致問題の解決を「国家の責務」と定義付け、日本政府が同問題を徹底的に調べ、日本人ら致被害者の帰国の実現に最大限の努力をすることを明記。また▽北朝鮮がら致問題に誠意ある対応を示さない場合、日本政府が経済制裁を行うための根拠となり、▽脱北者への支援を行う非政府組織(NGO)などへの財政的支援を講じるとしている。

2006・06・22
  日本政府は22日、北朝鮮に対する「圧力」政策の一環として、工作船に偽装できる中古漁船や、軍事転用可能な情報技術(IT)関連機器の輸出規制を強化するため、外為法の輸出貿易管理令を改正する方向で検討に入った。

2006・07・05
 日本政府は5日の安全保障会議で、当面の対応として、貨客船万景峰(マンギョンボン)号の入港禁止など9項目の制裁措置を決めた。入港禁止の期間については、これに先立つ持ち回り閣議で半年間とした。安倍官房長官は同日の記者会見で「制裁措置を当然念頭に置いている。わが国が行えるすべての制裁措置を検討したい」と述べ、その他の金融・貿易などの経済制裁措置についても実施の方向を示唆。
【対北朝鮮措置】         
 (1)北朝鮮側に厳重抗議。ミサイルの開発中止、廃棄、輸出停止と6者協議 への早期かつ無条件の復帰を要求
 (2)万景峰号の入港禁止
 (3)北朝鮮当局職員の入国は原則認めない。北朝鮮からの入国についても審 査をより厳格化
 (4)在日の北朝鮮当局職員による北朝鮮を渡航先とした再入国は原則認めない
 (5)日本の国家公務員の渡航を原則見合わせ。日本から北朝鮮への渡航自粛を要請
 (6)日本と北朝鮮間の航空チャーター便は乗り入れを認めない
 (7)北朝鮮に関するミサイル、核兵器などの不拡散のための輸出管理措置を厳格にとる
 (8)北朝鮮による不法行為への厳格な法執行を引き続き実施
 (9)北朝鮮の今後の動向を見つつ、さらなる措置を検討

2006・07・05
  北朝鮮がミサイルを発射した7月5日以降、法務省は朝鮮籍同胞の再入国許可を制限。従来は、海外に出る日程を1回分示すだけで、有効期間内に何回でも入国できる「数次許可」が出た。しかし現在は再入国1回限りの許可しか出ないという。韓国籍など他の定住外国人の扱いに変化はなく、制限対象は「北朝鮮との関係」を理由に在日朝鮮人に限定されている。
 法務省入国管理局長名で各地の地方入国管理局などに示された7月5日付の通達によると、当分の間、「在日朝鮮人(再入国許可書所持者)からの再入国許可申請があったときは、渡航目的、渡航先、日程等を詳細に把握し、申請を受理する」ように指示。数次の再入国許可を出す際は2回以上の渡航日程を提出させるよう求め、「2回以上の渡航日程の提出のない者は1回限りの許可とする」としている。

2006・07・06
 総務省は6日、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連施設がある東京都と138市町に対し、施設への固定資産税を適切に課税するよう求める文書を自治税務局長名で出した。
 施設に対する今年度の課税状況について、減免の有無やその根拠条例の内容、かつて減免をしていながら01年度以降に取りやめたケースがあるかどうかなど、具体的に回答するよう調査票を添付。回答期限を20日とした。

2006・07・29
 日本農林水産省は北朝鮮産輸入海産物の原産地表示違反を根絶するため、8月1日から特別精密検査を実施すると28日、明らかにした。
 これに先立ち中川昭一農水相は7日、北朝鮮のミサイル発射後の、北朝鮮産水産物に対する検疫を強化すると明らかにしている。これによって日本は二枚貝類やウニ、カニなどの水産物とキノコ類など北朝鮮産外国製品に対して原産地表示を厳格に点検、商標における責任の所在を明確にするほか、関連製品の卸売業者に対しても調査する計画だ。
 日本は2003年、北朝鮮から約45億円規模の貝類約3万2千トンを輸入したが、当時これは北朝鮮産が全外国製品の約4分の1を占める規模だった。 

2006・07・29
 日本当局が北朝鮮のミサイル試験発射で万景峰号の入港を禁止したことにともない、北朝鮮への訪問を希望する在日同胞たちのために航空便が組織されると在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)機関紙・朝鮮新報インターネット版が29日に伝えた。
 「訪北期間は7泊8日であり、4回にかけて行われる」と付け加えた。
 新聞が紹介した訪北日程は、9.28〜10.5、10.5〜10.12、10.12〜10.19、10.19〜10.26などである。また空港別航空便は毎回、成田CA422便09:35発、中部JL601便09:40発、関西CA162便10:00発などだ。いっぽう今回の訪北には、中国国際航空と日本航空が利用される。

2006・08・24
 大阪で開かれた第15回東アジア少年卓球選手権大会に参加していた北朝鮮の選手団は24日、主催者側の要請により出場を辞退し帰国した。日本側の組織委員会は、北朝鮮選手団の身辺の安全に責任を負えないとして、北朝鮮卓球協会に出場の辞退を勧告していた。

2006・08・25
  8月26日から開かれた世界宗教指導者国際会議(WCRP)の第8回世界大会に参加予定の朝鮮代表6人に対して法務省が入国を拒否。朝鮮代表は参加できず。

2006・08・31
  日本の財務省は、今年7月の北朝鮮によるミサイル発射強行に伴う日本の経済制裁で、日朝両国の貿易額が大幅に下落したことが分かったと発表した。 この日の発表によると、7月の日朝両国間の貿易額は8億6000万円で、昨年の同じ時期に比べ39.3%減少した。

2006・09・06
  日本法務省入国管理局は、9月14日から横浜市で開かれる第11回FINAシンクロナイズドスイミング・ワールドカップに出場を予定している朝鮮選手団13人のうち3人の関係者に対し、「北朝鮮政府関係者の可能性もある」として、ビザを発給しなかった。

2006・09・07
 自民党の対北朝鮮経済制裁シミュレーションチームが「北朝鮮金融制裁法案」の素案を了承。

2006・09・19
  日本政府は19日の閣議で、北朝鮮の大量破壊兵器開発との関係が疑われるメーカーや商社など15企業と1個人を対象に、外為法に基づいて送金停止や資産凍結を行う金融制裁の発動を了解した。北朝鮮による7月の弾道ミサイル発射に対し、国連安全保障理事会が採択した非難決議を受けた措置。当面、米国、豪州、韓国を合わせた計4カ国で連携する。
 米国がすでに制裁を加えている12企業1個人に加え、政府が独自に情報を収集した企業を新たな制裁対象とした。ほとんどが北朝鮮に本社を置く企業で、独自に加えたのは「ポンファ・ホスピタル(烽火(ポンファ)病院)」など。

2006・09・23
  鳥取県境港市の境港に入港している北朝鮮籍の貨物船から偽の米ドル紙幣2枚が国内に持ち込まれたとして、神戸税関境税関支署と県警などは23日、関税法違反(禁制品の輸入)の疑いで同船を家宅捜索した。
同税関などの調べによると、貨物船は水産物を運ぶ「KUM GANG1」(298トン)で、19日に入港。船長が北朝鮮の業者から預かった荷物を通関手続きが簡易な「託送品」として運び、同港で京都府舞鶴市の在日韓国人の男性に渡したが、税関に申告しなかったため税関職員が調べたという。荷物に米100ドル札300枚が入っており、鑑定で2枚が偽札であることが22日にわかった。

9月23日現在まで
 
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