[ムン・ソンフィ記者(慈江道出身、2006年入国)]
デイリーＮＫ[2009-02-22 12:46]

　北朝鮮政府当局が、金正日の「人民性」を宣伝しつつ、昨年、彼が病に伏せた事実を公式に言及したことでその背景が注目されている。
　 新義州の消息筋は２月２１日、 「デイリーＮＫ」と通話で「２月 １６日(金正日誕生日)を迎えるにあたってもたれた各洞の「人民班長会議」で、昨年将軍様(金正日)が病に伏せたということを明らかにした」としながら「幹部講演会でもこの内容を正式で取り上げた」と伝えて来た。
　 北朝鮮政府が下級幹部たちと人民班長たちに、金正日が病に伏せた事実を公式に認めたことから、金正日健康問題に対する北朝鮮指導部の自信が完全に回復したものと見られる。金正日は先月、王家端（ワン・ジャルイ）中国共産党対外連絡部長の訪朝過程で、電撃的に姿を現し「健在ぶり」を誇示した。
　 この消息筋は「去る１３日、新義州では将軍様誕生日に関する人民班長たちの会議が午後 1時から５時まで４時間もあった」と語り、「会議案件は、将軍様の誕生日を迎え、敵の策動に対して“革命的警戒心”を高める問題、街路と町並みをきれいにする問題、現情勢の要求に合わせて緊張を緩めずに将軍様の誕生日を意義深く過ごす問題などが指示された」と述べた。
　 そう伝えながら彼は、会議に続き「祖国の安寧と人民の幸せを守るために、試練の強行軍を続けておられる将軍様の偉大性を広く宣伝しよう！」との講演会があり、その講演で「去る９月９日、共和国創建記念日を前に、試練の強行軍を続けていらっしゃる将軍様が現地指導の過程で倒れた」ことを明らかにしたと語った。
　 ただ、金正日の発病原因と正確な日付は明らかにされず、一般労動者たちや住民たちが参加する講演会と人民組会議でも、金正日が病に倒れたことはいまだに明かされていないと説明した。
　 消息筋は、「講演では将軍様が“現地指導路程で倒れた”と言ったが、どこを訪問しどのように倒れたのかについての説明はなかった」としながら、「将軍様が倒れたという知らせを聞いた９・９ 節（北朝鮮建国６０周年記念）行事現場は、涙の海となったという内容が伝えられた」と付け加えた。
　 彼は引き続き「将軍様が病気だという噂が流れたことで、その間、党機関と国家安全保衛部の統制が普通ではなかった」と述べながら、「一ヶ月前までも“虚偽のうわさ”と騷でいたのに、今度は将軍様が倒れたのは“事実”と言って偉大性を宣伝しろと指示している」と皮肉った。
　 消息筋は「講演会で明らかにされ、この頃のテレビでも将軍様の消息がたくさん放映されているが、将軍様が今も病んでいるという噂は消えていない」と伝えながら「しかし、一般の人たちは将軍様の健康には関心がない」と現地の雰囲気を伝えた。