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2008.10.22

開城工団の安い労働力は‘毒薬’だという警告を忘れたのか
〜いまからでも経済的実利を考えて再検討すべき

キム・テサン/北朝鮮−チェコ靴技術合作会社前社長
デイリーNK 2008-10-21

 10月16日、北朝鮮が、南北関係の全面中断を含む重大決断を下すと警告したことで、開城工団に入っている企業は不安を隠せないでいるという。
  過去に「太陽政策の政治家たち」の南北経済協力という甘言に乗せられ、大きな希望を抱いて開城工団に入った企業は、これまで一日も心が休まることなく、気苦労の耐えない日々を送ってきた。それでもわずかな希望に期待を寄せながら、一日一日を耐えて来たが、もうこれ以上は後がないという状況まで追い込まれたようだ。
  筆者は、北朝鮮の多くの労働者を率いて海外に出かけ、そこの資本家たちを相手に合弁や人材のビジネスを行なった経験があるため、南北経済協力について、あえて問題提起をしたい。
  開城工団を始めるとき、脱北者たちは、慎重になるようにと警鐘を鳴らした。北朝鮮はすべてを自分たちの政治的な利益にあわせて決定するため、開城工団は今後必ず政争の具となり、犠牲になると。
  開城という無人島のようなところでは、生産資材も動力資源も購入することができないし、生産品も現地で消化することができない。しかし、中小企業は政府が支援するという言葉だけを信じ、安い労働力に引かれてしっかりとした現地調査もしないで、未来への保証もないまま、怖いもの知らずの状態で未知の土地へ入り込んだ。
  支援するといった政府が永遠に続くわけではなく、安い労働力にどのような毒薬が入っているのかも分からないのに、開城工団に引き込まれて行った。その毒を飲んで、ある企業は死に至りある企業は深手を負い、残った企業もその地雷源のようなところで地団太踏んでいる。にもかかわらず、今なお入ろうとしている企業がある。
  今後参入する企業は、北朝鮮の労働者に、衛生面での条件と規定に合う宿舎や生活施設を保障しなければならない。栄養管理の規定にしたがった食事も保証しなければならない。そうなれば、安い労働力だけを見て開城工団に入った中小企業は、どのように利益を出せるというのか。
  先発の企業が経験したように、開城工団の中での韓国人は、企業のオーナーで社長という前に、不倶戴天の敵の「南朝鮮カイライ」であり、労働者の血を吸う資本家であり、そして何の権限もない人たちにすぎない。
  それに、政争に巻き込まれていつ追い出されるかわからない不安にさいなまれ、自分の工場にいる北朝鮮の労働者の顔色も伺わなければならない。それだけではない。どのような予期せぬことが起きるかわからないため、またいつ給料をあげろという要求がくるかもわからないため、常に不安な状況に置かれる。
  過去の政府が、工団に入居した企業を財政的に、すなわち国民の血税で面倒を見てこなかったら、今頃は生き残った企業はなかっただろう。
  李明博政権は、開城工団事業の中間総括を行ない、経済的実利と政治的な意義をしっかりと打算し、正すべきは正さなければならないと思う。経済的な利益もないまま、北朝鮮の言いなりになる訳にはいかないであろう。
  南北経済協力という名の下で開成工団事業は始まったが、正直に言って、北朝鮮の経済や住民の生活には何の助けにもならなかった。世界の世論に向けた韓国政府のアピールにすぎなかったし、独裁者金正日の懐を暖かくし、北朝鮮の軍事力の強化に貢献したこと以外は何の意味もなかった。
  それにもかかわらず、北朝鮮が刀の柄を持ち、韓国はいつも刃を持っている危険な状態を続けている。なぜ韓国政府は北朝鮮との外交でいつも損をし、恥をかき、脅威にさらされるのか理解ができない。そして資本主義社会で経済実利を追求し、利害打算に長けている企業家が、なぜ開城工団に集まるのか理解しがたい。
  韓国の企業は現在、世界的な金融不安にさらされているが、開城工団に入居した企業はそれに加え、これからも北朝鮮の政治・軍事的圧迫や脅威に脅かされ続けるだろう。
  もう一度言うが、われわれ脱北者は、開城工団の初期に、新聞のインタビューや講演を通じて、開城工団事業の危険性を十分に知らせた。開城工団はいつ爆発するかわからない爆弾のようなものである。金正日政権が終わらない限り、その危険性は無くならないだろう。

 
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