渡来文化ゆかりの滋賀県大津市に「渡来人歴史館」がオープンした。近江は古代から朝鮮半島と深いかかわりがあった所。「近江渡来人倶楽部」(河炳俊代表=58)が6年がかりで完成にこぎつけた。
歴史館は4階建て。2階が3つのコーナーで構成する展示会場。
展示会場は図書資料コーナーと合わせても全体で120平方b余り。決して広いとはいえないが、狭さを感じないのが不思議だ。
「日本と朝鮮半島のつながり」を紹介するコーナーでは有史以来、朝鮮半島から多くの渡来人が日本に定着し、日本の国家建設に重要な役割を担ってきたことを紹介している。パネル説明では古代から現代までの友好の歴史が中心であるが、短い期間ではあったが日本の侵略の歴史にもしっかりと説明が行われている。
「近江と渡来人」のコーナーでは古墳時代からの出土品や新羅・高句麗・百済などからの渡来人とゆかりの深い寺院などにスポットをあてるとともに、全長4bに及ぶ朝鮮通信使関係年表も友好の証としてパネル化されている。
3階は100インチ大型プロジエクターを備えた研修会場となっている。
「日本列島と朝鮮半島との関係についての正しい歴史認識を普及させる事業」は河炳俊代表が近江渡来人倶楽部を発足させて以来掲げてきた行動目標だった。理事でもあり郷土史にも造詣の深い日本人の美術教員が基本的な資料収集を担当、大津市国際親善協会顧問の平野喜三さんや河代表ら5人のメンバーで幾度も勉強会を重ね、開設にこぎつけた。また歴史考証は映画「在日」を監督した呉徳洙さんの協力を得た。
河代表は「在日コリアンと日本人との共生の足がかりとして活用してもらいたい。中学生や高校生には総合学習の教材にも役立ててほしい」と語っている。
歴史館は大津市梅林2‐4‐6。077・525・3030。JR大津駅南口から国道1号沿いを草津方向に歩いて5分。
開館は午前10〜午後5時(月・火曜日休館)。入館料200円。
近江渡来人倶楽部 http://www.tryjing.com |