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黄長Y元書記とのインタビュー

2004.10.14
黄長Y元朝鮮労働党書記

10月14日、TV朝日は黄長Y朝鮮労働党元書記とのインタビューを行い、「訪日問題」と米上下院を通過し大統領の署名だけを残した「北朝鮮人権法」の意義について語ってもらった。その内容の要旨は次のとおり。

訪日問題について

Q 訪日問題についてお聞きします。8月中旬に日本の衆議院外務委員会が先生の招致を決めて、二度にわたる招致依頼があったと思いますがいかがでしょうか。
A:確かにソウルの日本の大使館から参事官二人が私を訪ねて来てそう伝えました。
Q:それについて先生はどうお答えになったのでしょうか。
A:両国政府間で決定されれば私は訪問すると。
Q:そのあと韓国政府は10月4日、日本側に回答を寄せ四項目の条件を提示したと聞いていますが、耳にしておられますか。
A:しています。それも日本大使館から参事官二人が訪ねて来て私に話しました。私は彼らにその文書をもらえるかと聞いたのですが、それはできないといいました。ただ四項目を簡単に説明した後、このたび日本の議会が招聘を見合わせるようになったと伝えました。
Q:つまりその問題で先生の訪日がダメになったと日本大使館員が言ったというのですね
A:私はそう受け取りました。外交的に見合わせるということは、これは終わりだと、これは取り消しだと、そう受け取りました。
Q:我々の取材では、今も日本の外務委員会側は引き続き先生の招聘に意欲的に動いていると確認しています。先生はこういう動きについて耳にしておられますか。
A:それは日本の大使館から通告を受けた後に、他のルートからそういう話を聞いたことがあります。しかしそれは正式な話ではありません。引き続き招聘に動いているというのは聞いています。
Q:そういう動きがあることについて先生はどう思われますか。
A:それが実を結び、四項目を提起した韓国政府との交渉が順調に進んだら訪問したいと思っています。
Q:先生の訪米は実現しましたが訪日は実現していません。それについてどうお考えですか。
A:特にこれといった考えはありません。とにかくアメリカ訪問は可能であったのに、なぜもっとも近い、最もたやすいと考えていた日本の訪問は実現できないのかと不思議に思っています。
Q:先生は日本とは縁が深いのでいろいろな方々ともお会いになりたいと思っておられますか。
A:会いたいです。しかし私は何も個人的な利害関係から日本を訪問したいという考えはありません。どこまでもそれは両国間の親善のために必要だと考えるからです。その親善と協力は北朝鮮の民主化、世界の民主化、アジアの民主化のために必ず必要だと考えています。だからそれに少しでも寄与したいというのが訪日を希望する理由です。
Q:先生が訪日なされば拉致問題、核問題、人権問題、日朝国交正常化問題について、助言していただけると考えてよいのでしょうか。
A:もちろんです。それらの問題について話をしようと思っています。それも日本国民の高い思想文化的、政治的水準に見合う内容で話そうと考えています。
Q:実は日本の外務委員会に寄せてきた韓国の回答の中で、先生が外務委員会で演説する演説文をすでに日本の月刊誌「現代」に発表した(現実に韓国誌「月刊中央」は十月号でこれを転載し「演説文」だとして歪曲報道を行った)としていますが、そういった事実はあるのでしょうか。
A:私はアメリカを訪問するときにもそういう原稿を持って話したことはありません。まして日本の訪問も決定されておらず、また国会で演説することも決まっていないのに、そういうものを書くはずがありません。ただ北朝鮮に対する戦略的な意見を書いたものがどこかに流れて掲載されたのかもしれません。しかし、それが国会で話すための演説原稿などというのは全くのでたらめです。
Q:最後に、先生がおしゃりたいことがあれば。
A:まあ、あれもこれも訪日が実現された暁に話しましょう。

北朝鮮人権法案について

Q:米国議会を通過した北朝鮮人権法案の意義について教えてください。
A:このたび北朝鮮人権法案が米国議会を通過したことは、世界の民主化のため、特には北朝鮮の民主化のために、意義のあるうれしい便りだと考えています。これは世界のすべての民主主義者たちにとって大きな幸いであり、また大きな励ましとなります。
Q:脱北者の米国受け入れと、人権活動団体にたいする支援が行われるとの話がありますが、具体的計画はおありでしょうか。
A:具体的な計画はまだ立てていません。しかしこの法案が脱北者たちに、また北朝鮮で苦しんでいる我々の同胞に対して、大きな精神的な力をもたらしたことは間違いありません。彼らを覚醒させるのに大きく役立つだろうと思います。具体的な問題は、準備を整えて次の機会に話そうと思います。
Q:北朝鮮苦しむ人々にも人権法案についての情報は伝わるのでしょうか。
A:北朝鮮の政権は極力これを妨害するでしょう。しかし、何らかの形でそれが伝わるだろうと思います。またその面では我々脱北者団体も積極的に行動していきたいと思っています。
Q:先生が以前から主張なさっている脱北者村の構想。これもアメリカの人権法案と関連して具体化するのでしょうか。
A:そういう具体的な問題は、まだはっきりしません。そのためには、大きな経費が必要だし、具体的に協議を経なければならないでしょう。今そういう問題に対して言及することは難しいです。
Q:進めていらっしゃるんですね
A:考えています。
Q国連を含めてこれまで国際社会は北朝鮮の人権抑圧の問題について問題提起を行ってきました。それに対して北朝鮮側はどう対処してきたのでしょうか。
A:彼らは北朝鮮には人権問題はないと、ひいてはそこには政治的監獄もないし、政治的な圧迫もないし、全人民が金正日を支持していると、そう話し根本的に否定しています。世界はそのような北朝鮮の宣伝、主張をそのまま受け入れているとは思えないが、しかし積極的に暴露することもしてきませんでした。それ故、朝鮮に比べれば、100分の1にもならない国の人権問題は大袈裟に取り扱いながら、北朝鮮問題は放置する状態にあったと考えられます。しかしこの度、アメリカが北朝鮮人権法案を通過させたことから国際社会にも大きな衝撃が走ると思います。
Q:アメリカがここまで決意したのは、先生の訪米も影響があったのではないでしょうか?
A:私が影響を与えたとは考えていません。しかし少し参考になったかもしれません。
Q:では国際社会が北朝鮮の現状を正しく把握するためにはどうすればよいのでしょうか。
A:ちょっと複雑な問題ですね。この民主主義社会では北朝鮮で実際に数百万の人民が餓死したということ、それをまず認めないですよ。それがありうるかと。また一部の人たちは、それは人権の問題ではないといいます。私は、権力も、財産も、思想もすべてが独裁政権に握られ、そのような体制のもとで人々が餓死したということは、初歩的な人権すら蹂躙されているという証拠ではないかと言いました。しかし町を歩いている人のほっぺを殴ったら人権問題になるけれども、飢え死にするということ自体は人権問題ではないといいます。 
核爆弾を作り、大量殺戮兵器器を作りながら人民の餓死を放置するのは最もひどい人権問題ではないのでしょうか。
しかしそれを自由社会ではあまり問題にしていません。それを本当にひどい人権蹂躙だと考えていないです。だからそういう根本的な人権蹂躙の問題を自由社会の人たちが認めるようにしなければなりません。そのためには我々脱北者団体も活動の幅を広げなければならないと考えています。
それで私は、最近小さなインターネット放送局をひとつ作りました。それを通じてでも北朝鮮の実情をありのままに国際社会に伝えたいというのが、私の切実な希望です。

 
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