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今週のニュース

北朝鮮は核実験に進むのか…すでに '核実験' との観測も

2006.8.21

米国ABCテレビは8月18日、匿名で米国務省・国防省関係者らの話を引用、「北朝鮮が咸鏡北道吉州郡豊渓里(プンギェリ)で核兵器実験時に地下実験場と外部観測装備を繋ぐ大きなケーブルを積みおろしていると報道した後、北朝鮮の地下核実験可能性に対する関心が高まっている。咸鏡北道吉州郡は去年5月にも山中のトンネルにセメントなどが搬入されているのが目撃され、核実験の疑いを呼んだ地域だ。
8月20日、韓国政府当局者は、米ABCテレビの報道を間接的に認め、「24時間密着監視をしている」と明らかにした。監視活動を行っているのは、韓国政府科学技術部傘下の地震専門観測機関である大田広域市テドック研究団地内にある韓国地質資源研究院と見られている。
今のところ北朝鮮が核実験をするかどうかは不透明だ。米政府当局が1998年に衛星写真などを通じ、平安北道金倉里(クムチャンリ)の地下に核施設の建設と疑われる大規模工事が進行中であることを捕捉、北朝鮮に多額の補償を与えて現場調査を行ったが空っぽのトンネル以外には何も発見できなかった例もある。

北朝鮮はすでに '核実験' を行った?

核爆弾にはウラニューム弾とプルトニューム弾がある。このうちウラニューム弾は特別に核実験を必要としない。プルトニューム弾は核実験が必須だ。しかし核実験を自国で行わず迂迴的な方法で行う方法がある。‘他人の手’を借りる方法だ。
黄長Y(ファン・ジャンヨプ)前朝鮮労動党国際書記は最近 "北朝鮮の核実験はパキスタンの核実験と共に行ったと考えてよい"と語った。パキスタンの核爆弾技術と北朝鮮のミサイル技術をバーター(barter)したというのだ。
1998年 5月に実施されたパキスタンの核実験時、北朝鮮科学者 20~30人が大挙パキスタンに入国した証拠が捕捉されたが、これらが核実験を参観して帰ったといわれている。
一部専門家と情報機関関係者は この98年 5月 30日に実施されたパキスタンの 2次核実験が実は北朝鮮の核実験だったと主張している。パキスタンが核実験場を貸してくれたというのだ。
確かにパキスタンの 2次核実験は疑わしい点が多い。1次では5回の核実験を行ったが、2次の時は 1回しか核実験を行っていない。
普通核実験は不発で終わる可能性に備えて、多くの種類の爆弾性能を比べるために一度に 2~3回の核実験を実施する。インドが 1次に 3回、2次に 2回の核実験をしたことを見れば分かる。ところでパキスタンはどうして 1次の時 5個を実験し 2次の時 1個しか実験を行わなかったのだろうか?
また 1次と 2次の核実験の場所が遠く離れており、1次の時は核実験を明らかにしたが 2次の時は核実験を公表にしなかった。こうしたことから 2次は北朝鮮科学者たちがパキスタン内部で作った核爆弾ではないのか、パキスタンは場所だけ貸与し北朝鮮が核実験を行ったのではないかという疑惑が提起されている。そのためこれを事実として受け入れている専門家たちの間では“今北朝鮮の核実験ジェスチャーはショーに過ぎない”と話す。
現段階では「疑惑」であるが、このような迂迴的な方式の核実験もありうるということだ。
そうであっても核兵器の性能を改良しようとすればいつかは公然と核実験をするしかない。

核実験の政治効果

核実験は核爆弾を保有していると宣言することだけでは不十分なのでそれを‘直接見せるため’に行うのだ。もちろん核実験を生中継するのではないが、核実験の時発生する地震波と津波、大気中放射能などによって隣接国では核実験の成否と核爆弾の性能を推察することができる。こうして核兵器の保有を '現実化'することで対外的な脅迫手段にする。
米国・ロシア・中国・英国・フランスなど5大核保有国は、過去冷戦体制下で‘核攻撃すればそれに相応する報復を行う’とする相互確証破壊(MAD ―Mutual Assured Destruction)の概念の下で競って核兵器を開発した。また核実験も多く行った。相手が核を持っているで、報復(2nd strike)が憂慮されて簡単に先制攻撃ができなくなるからだ。
核実験は対外的な脅迫手段と共に対内的な結束の手段にもなる。
民主的な政府の場合、特定の敵対国家なしで核実験をすれば反核世論によってむしろ対内結束に障害となるが、長い間対立してきた敵対国家があるとか独裁国家の場合、核実験は国民に‘決戦意志’と‘権力に対する忠誠心’を呼び起こす起爆剤になる。代表的な例がインドとパキスタンだ。
インドが先に核実験を行った直接的な理由は、中国とパキスタンによる長期的な安保脅威もあったが、当時政権を獲得して間もないインド人民党(BJP) 政府が国民の支持を得るために断行した側面が大きい。1998年当時、インドは中国、パキスタンと深刻な対立をもたらしていなかった。インドが核実験をした時、実験地近くの住民たちは放射能危険に抗議したのではなく、通りに飛び出して万歳を叫んだ。
インドが核実験を行った後おおよそ 2週間後にパキスタンが核実験を行ったが、これはインドの核実験に対する対抗措置だった。パキスタン国民が政府に核実験を強力に要求したので、もしその時核実験をしていなかったらナワズシャリプ総理の政治生命が危なかったという。パキスタンも核実験に成功すると国民が通りに出て祝砲を放ち歓迎した。

核実験の可能性は技術的側面からも見る必要がある

北朝鮮の核実験問題に対して政治的側面からだけ観測する人々が多い。中国と完全に決別して孤立と制裁を自ら招く道なのに果して北朝鮮が核実験を行うのだろうかというのだ。
もちろんこのような政治的側面を考慮する必要はあるが、核開発に関しては核爆弾の技術、科学的側面に対しても考える必要がある。
多くの時間とお金をかけて、おびただしい非難を受けながら完成した核爆弾をじっと観賞ばかりしているだろうかという点だ。一旦作った以上本格的に試して性能も改善しなければならず、その道を突き進んでいくしかないのではという観測も成り立つ。それが核の生理だからだ。このような側面も北朝鮮核開発問題の分析には必要だ。
どちらにせよ当面北朝鮮が最後のカードとしての核実験に進むのかどうか今後注視していく必要がある。

 
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