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ハンナラ党有利で推移する韓国大統領選挙

コリア国際研究所 南北関係研究室
2007.8.25

 8月19日に行なわれたハンナラ党の第17代大統領選候補選びは、前ソウル市長の李明博(イ・ミョンバク、65)候補が勝利した。
 13万898人(有効投票数)の選挙人団と世論調査対象5049人の得票数を合算した結果、李前市長は8万1084票を獲得し、7万8632票の朴槿恵(パク・クネ)前党代表を2452票差で退けた。元喜竜(ウォン・ヒリョン)議員は2398票、洪準杓(ホン・ジュンピョ)議員は1503票だった。
 僅差で勝利した李前市長は、選挙人団投票では朴前代表より432票少なかった。しかし朴槿恵前党代表と熾烈な攻防を繰り広げた一般国民対象の世論調査票で約8.5ポイント(票換算で2900票余り)上回り、勝利を手にした。
 敗れた朴槿恵前党代表は潔く敗北宣言を行い、今後は政権奪還のために「白衣従軍」(一兵卒として戦地に赴くこと)すると言明し、政権交代のための和合と団結を党員に訴えた。
 しかし、激しいネガティブキャンペーンで大きな溝が出来た両陣営が一つにまとまるかどうかは予断を許さない。
特に朴槿恵陣営の共同選挙対策委員長を務めた洪サドク、安ビョンフン氏や、徐チョンウォン常任顧問、李ヘフン議員、スポークスマンを勤めた金ジェウォン議員、李ジョンヒョン前主席副スポークスマン、また朴槿恵氏側近の柳ジョンボク議員などが今後どのように動くかが注目される。なぜなら朴槿恵陣営は、選挙人団投票で李明博候補に勝った事からも分るように団結力が高かったからだ。

1、韓国国民が求める経済再生に焦点を合わせる李明博候補の公約

 ハンナラ党の李明博候補の大統領候補者選挙スローガンは「経済!確実によみがえらせます」だった。このスローガンで見られるように、李候補は“経済大統領”を志向する。30代で企業社長に就任し「現代グループ神話」を作った経験をもとに国家経営のビジョンを提示するというのだ。「私が大統領になれば最高権力者ではなく大韓民国という会社の最高経営者になる」という言葉をよくするのも同じ脈絡だ。彼の代表的な政策公約3つもすべて経済分野に集中している。
 それは
@ 朝鮮半島大運河建設=漢江と洛東江をつなぐ京釜(キョンブ)運河を主軸に韓半島に京仁(キョンイン)運河、湖南(ホナム)運河、北朝鮮運河を建設するという構想だ。この構想に対しては一部で「大規模な土木工事をすれば経済がよみがえるのか」と疑問を呈している。
しかし、李候補は「大運河が21世紀の韓国の成長動力になる」と確信している。景気が沈滞した内陸都市が港都市に変身し、新しい産業が同時に芽生えるだろうという予測だ。
A 大韓民国7.4.7戦略=7.4.7戦略は「年間7%の経済成長を遂げて国民所得4万ドル時代を開き、これをもとに世界7大強国に進む」という経済ビジョンだ。
李候補陣営の郭・スンジュン政策企画団長(高麗大教授)は「10年後を展望して立てた目標だ。しかし年間7%経済成長のような目標は李候補が大統領になれば直ちに実現可能」と述べた。
B 国際科学ビジネス都市建設=基礎科学の研究と教育、そして産業を1カ所にまとめてシナジー効果を新たに作るという政策公約だ。李候補が昨年、スイス、ドイツ、日本などの科学都市を直接歩きながら練ってきた構想だ。
こうした構想と彼の歩んできた経歴を見るとなにやら日本の田中角栄元総理と類似している点が多い。

2、衰えを見せない李明博候補とハンナラ党の支持率

 22日付の韓国紙「中央日報」によると、同紙が21日に実施した世論調査結果として李明博候補(65)の支持率が53%に達し、対抗馬となる旧与党陣営の候補者を大きく引き離していることが明らかになった。
 これに対し、韓国の与党系勢力、大統合民主新党は22日、党内予備選の候補登録を終了した。21日からの登録期間中、孫鶴圭・前京畿道知事、鄭東泳・元統一相、李海チャン元首相、韓明淑前首相、柳時敏・前保健福祉相ら11人が立候補を届け出た。民主新党は候補者を数人に絞り込んだ上で、さらに決選投票を行い、10月14日に大統領候補を選出する予定だ。
しかしこれらの候補は軒並み支持率が低い。孫鶴圭前京畿道知事(59)が9%で最高。以下、鄭東泳元統一相(54)3・3%、李ヘチャン)元首相(55)2・9%などの順となっている。
 李明博候補の支持率だけでなくハンナラ党の支持率も堅調に推移している。特に全羅道でハンナラ党の支持率が急上昇していることが注目される。
地方新聞社9社が所属する韓国地方新聞協会は世論調査機関「リサーチ・アンド・リサーチ」(R&R)に依頼、21日に全国19歳以上の男女1,000人を対象に世論調査によると、ハンナラ党は光州・全羅南道・全羅北道地域で党支持率25.2%を記録、1位となった。
 朴相千(パク・サンチョン)代表が率い、趙舜衡(チョ・スンヒョン)議員が大統領選候補として出馬する民主党が23.1%で2位。旧与党のウリ党議員が多数くら替えし旗揚げした民主新党は16.1%で3位にとどまった。
大統領選候補の支持を問う調査でも、ハンナラ党の李明博候補が36%で、鄭東泳候補(14.77%)や孫鶴圭候補(7.6%)と与党系候補を大きく引き離した。
 ハンナラ党は20日の「コリア・リサーチ・センター」による調査でも、全羅道で政党支持率1位(24.66%)だった。
R&Rのハン・チョルス・チーム長は「現在、与党系が分裂していることや、ハンナラ党の“コンベンション効果”(全党大会や大統領候補予備選直後に支持率が上がる現象)が複合的に作用しているようだ」と分析している。
 民主党関係者は「ハンナラ党が全羅道で支持率1位になったのは、金大中(キム・デジュン)前大統領が平民党を作った1987年以降初めてだろう。ウリ党の国政失敗で、前代未聞の出来事が起きた」と語った。

3、限定的な「南北首脳会談」効果

 今月8日、28日から30日に開かれると発表された南北首脳会談は、北朝鮮の水害のためという北朝鮮側の要望により10月2日から4日までと延期された。
第二回の南北首脳会談は、発表された当初から前回のような反応を見せていない。
 中央日報のジョインス風向計が発表直後の8日、「南北首脳会談の大統領選への影響力」について調査した結果、「影響を与える」という意見が44.4%、「影響を与えない」という意見が42.8%と、ほぼ同じ比率であった。
「影響を与える」という回答は19−29歳(52.4%)、学生(55.6%)、光州(クァンジュ)・全羅道(チョンラド)居住者(54.1%)、1カ月の世帯所得150−249万ウォン(53.7%)に多かった。
 「影響を与えない」という回答は男性(49.0%)、高学歴(大卒以上:47.8%)、自営業者(58.1%)、ソウル(49.2%)居住者、1カ月世帯所得350万ウォン(約45万円)以上(51.7%)に相対的に高かった。
 8月13日から15日にかけて、当研究所が現地調査した結果でも南北首脳会談に対する反応は冷静であった。ほとんどの人が「大統領選挙」には大きな影響がないだろうと予測していた。
 金正日政権が、いかなる狙いで「アリラン祭」を続行しながら南北首脳会談を延期したかは定かでないが、この延期によってその効果が減退していることは確かだ。

*     *     *
 現在ハンナラ党が有利に選挙戦を進めているが、予断を許さない面も多い。
越えなければならないハードルとしては

  1. 朴槿恵陣営との和合。
  2. 李明博候補に対する金大中を中心とする与党及び盧武鉉政権側の熾烈なネガティブキャンペーン。特に金銭スキャンダル。
  3. 南北首脳会談効果と金正日政権の選挙介入
  4. 保守陣営を結集させる対北朝鮮政策の確定
  5. 与党側劣勢が明らかになった時のテロへの防御

 などがあるが、これらに対して李明博候補が油断せずしっかりと対処し、朴槿恵陣営、とくにはその参謀となった人たちへの配慮を怠らなければハンナラ党の分裂は起こらず、国民の信頼も勝ち取ることが出来る。そうなれば大統領選挙勝利への道がおのずと開けてくるだろう。

 
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