「太陽政策」は韓国の正統性と命脈を絶ち切る政策
自由北朝鮮放送の質問に対する黄長Y元書記の回答
編集・翻訳 南北研究室
2008.5.1
韓国の元大統領金大中氏は、李明博大統領の訪米に合わせて米国を訪問し、4月22日にはハーバード大学で「太陽政策が成功の道」との講演を行った。そこですでに破綻した自らの政策をなおも自画自賛した。そればかりか「太陽政策」と李明博政権の「非核・開放・3000」政策が共通するとの「珍見解」まで披露した。また「太陽政策」だけが「共産主義克服の道」と語り、それを「普遍化」する主張まで行なった。
こうした主張に対してデイリーNKのキム・ジュニョップ論説委員は「これは、自己陶酔であるだけでなく誇大妄想であると言える。精神医学の専門家は、こうした精神現象を『パラノイア(paranoia)』と言う。『強い妄想が持続する状態』という意味である」と切って捨てた。彼だけでなくいま多くの人たちが金大中氏の言動に首をかしげている。
大統領を退いて5年以上も過ぎた今、なおも破綻した「太陽政策」に執着し、李明博政権の「非核・開放・3000」政策までも太陽政策の継続だと主張する金大中氏の思惑とは一体何なのか。彼は民主主義を擁護しようとしたのか?それとも民主主義を売り渡そうとしたのか?そのことを解明する一助として以下では黄長Y朝鮮労働党元書記の見解を紹介する。
Q 少し前、金大中元大統領はアメリカに行って李明博大統領の対北政策は太陽政策と一脈相通じるとして、現時代を 6・15統一時代と評価しました。先生はこの発言をどう思われますか?
A ここ(韓国)で「太陽政策」を主張する者たちが現時代を 「6・15統一時代」と言うのは、金正日の主張をほめたたえ韓国の人々に繰り返し訴えようとするところにその目的があります。
私が前回にも話しましたが、新しい政権が登場した今、私たちが行なわなければならないのは、すぐる 10年間に失くしたものがなんであるかを探し出すことです。その基本問題は韓国の正統性であり韓米同盟です。
私たちが進まなければならない方向は資本主義的民主主義です。李承晩大統領がアメリカとの同盟を通じてその基礎を固めました。しかしアメリカ式民主主義について行くだけでは資本主義的民主主義は実現しません。資本主義社会も誕生した初期には封建社会と大差がありませんでした。階級的身分制度が無くなったとはいえ不平等と隷属はたくさん残っていました。
ではそれ(民主主義)がいつから確実に自分の地位を築いたかといえば産業革命の時からです。人々が自然条件に拘束されないで自らの力で自己の生存を維持していくことができる産業革命が起きてからです。すなわち人々が封建の奴隷ではなく生存手段で主導的な役目をするようになった時から資本主義的民主主義が自分の居場所を固めるようになりました。
韓国が解放直後にアメリカと同盟してアメリカについて行くようになったことはとても良いことだったのですが、そのような国が一つや二つだったでしょうか?他の国々もそのように考えましたが多くは失敗したではないですか?
もしもあの時、李承晩大統領が資本主義的民主主義政策で経済建設を行っていなかったなら、北朝鮮の侵略を阻止していなかったなら、今日の韓国の発展があったでしょうか?
特に 6・25戦争(朝鮮戦争)が終わった後も、北朝鮮は引き続き戦争準備をして韓国に対する浸透を強化しました。その北朝鮮の侵略を阻止し、非常対策を打ち立て韓国の安保を確立し、経済を飛躍的に発展させたのは朴正煕大統領でした。彼の政策によって韓国は救われたのです。
韓国はこのように飛躍的に発展し、他の国ならば 200年 300年がかからなければならないことを何十年の間に成し遂げました。それをアメリカ式民主主義の水準に比べて独裁だとしきりに言うのですが話にもならないことです。
アメリカが韓国水準の生産力であった時アメリカの民主主義状態はどうでしたか?
南部の奴隷制がずっと存在していたではありませんか。そのためにリンカーンが 3年間の戦争をしたではありませんか。60万人が犠牲になりました。
朴正煕大統領は民主主義体制を守るために非常対策を立てました。非常対策を立てたことで犠牲になった人は誰ですか?労働者ですか、農民ですか、事務員ですか、それとも一般商工人ですか、どこにもいないと私は思います。それで犠牲になったと言う人々は学生運動に参加した大学生たちと民主主義政治を求めるという政治家たちの何人かだったのではないでしょうか。一般大衆で被害を受けた人はほとんどいません。私がここ(韓国)に来て少し調べてみたところではそうです。あの時そうした大学生たちに国を任せていたら金日成や金正日に食われていたでしょう。
だから朴正煕大統領の功績を評価しなければならないのです。経済で寄与した側面については勿論ですが、それに劣らず重要なことは韓国の安保を保障したことなのです。それを評価しないで朴正煕大統領を独裁者と言いますが、朴正煕大統領がいつ資本主義に進むことに反対したのでしょうか?民主主義社会が成熟していないと言うことと、それを古い社会の延長だと言うこととは根本的な違いがあります。私たちが失くしたのが正にそのことなのです。
金大中が「太陽政策」を掲げて、わが民族どうし団結しなければならないという論理を作り出しましたが、それは結局アメリカを排斥しようということなのです。
6・25戦争の時、資本主義的民主主義を守ることができ、そして韓国が建設することができたのはすべてアメリカと同盟をしたからなのです。そして日本と共助体制をうち立てたからなのです。それなのに金大中はそれを否定しようとしました。こうして考えてみると、「太陽政策」は実質上明らかに韓国の正統性と命脈をたち切る政策であったのです。それだから私がいつも話しているではないですか。「太陽政策」を主張する人々は「乙巳五賊」(日本に国を売った逆賊)よりもっと悪い逆賊たちだと。
私が強調したいのは、私たちが新しい政権を迎えた今、何を取り戻し行動しなければならないかということです。私たちは民主主義に向かわなければなりません。民主主義が固定不変なものでないからそれを引き続き発展させて行かなければならないのです。そのためには韓米同盟をもっと強化しなければならないということです。
アメリカがすることがすべて正しいことではありません。それでもやはり親しくしながら協力も出来、助言もできるのはアメリカではないですか。これからはこの失くした二つ、すなわち私たちの正統性と韓米同盟を回復しなければなりません。そのためには「太陽政策」をずっと批判し続けなければならないのです。それにも関わらず金大中は、「太陽政策」を反省もせずアメリカに行っていまもなお「太陽政策」が正しいと主張しています。
これ(金大中の太陽政策に共感を示すこと)はまたアメリカの思想水準の低さを表しています。生活が豊かなものだから民主主義が何かについて、民主主義をどのように改善しなければならないかについて考えることができないのです。長年の経験を通じて(アメリカで)資本主義的民主主義が最も発展していることは事実ですが、本来の要求から見た時低いと言わざるを得ません。
こうだから金正日と 金大中はアメリカを一番騙しやすいと思っているのです。だから 金大中が大きいな罪を犯していながら反省もせずアメリカへ行って演説をしているのではないですか?
「太陽政策」を批判しなければなりません。「太陽政策」がなぜ悪いのでしょう?それは敵(独裁)を助けようとした思想だからです。問題の焦点は金正日のような独裁者と民主主義者たちの目的が同じでないというところにあります。にも関わらずそれを助けようとしたのです。一方は支配してもっと独占しようという考えであり、他方ここ(韓国)では民主主義的に協議をして物事を進めようという考えであります。根本的な目的が違うのです。
同じ目的をもってどの方法が正しいかで問題を設定するなら分かりますが、目的が同じではない太陽政策は(民主主義的解決の)代案になりえないということです。だからこれ(太陽政策)は言葉ではなく実際にその動機を追及して見なければなりません。
たとえ話を一つしましょう。飛行機が航行中に空中で爆破されました。なぜ爆破されたのか証拠が一つもないのです。全くの五里霧中なので犯人を突き止める方法がありません。ところが頭の良い捜査官がいて、この爆破事件で一番利益を得た人物が誰かを詮索し始めました。そして関係者の中から自分の母親に莫大な額の生命保険を掛けた人物を探し出したのです。その人物を徹底的に調べた結果、母親の荷物に時限爆弾を忍び込ませたことを白状しました。
私たちも金大中がいかなる利害関係からこのような論理を作り出したのかを詮索し実質的な研究をして見る必要があると思います。「太陽政策」というのは南北問題を平和的方法で解決することを名分としていますがその内実は投降主義です。それだから平和気分に浸った人々の心をつかみ政権を取ったのです。
それでは戦争を最も嫌った人々は一体誰だったのでしょう?それは大金持ちたちでした。韓国が飛躍的に発展する中で金持ちになった人々が戦争を一番嫌ったのです。
その人たちから金を集めて政権を手にしたのだと私は思います。頭の良い捜査官がしたように追及していけばすべて明らかになるはずです。なぜ鄭周永(現代グループの創設者)の息子が自殺したのかも分かるでしょう。
こうしたことを追求していけばあの人がどのようにしてお金をかきあつめたのかという全貌が分かるはずです。自分は何もないと言うが私が先ほど言ったように空中爆破犯を徹底的に探し出したように解いていく必要があるということです。単純な論理で追求してもだめです。確固たる論理を使って私たちが暴露し続けなければなりません。
何よりも「太陽政策」が根本的に間違っているのは、独裁者と独裁の犠牲になっている北朝鮮の同胞たちを区別しないで、北朝鮮の主人を金正日と見ていることであり、金正日の気分に合わせれば平和がもたらされると思っていることです。
(題名はコリア国際研究所が付けました)
*参考論稿 金大中氏の詭弁行脚 (2005.5) コリア国際研究所所長 朴斗鎮 |