hedder
headder space1 headder space2 トップページ サイトマップ
HOME  >  デイリーNKニュース  >  今週のニュース
北朝鮮研究
南北関係研究
在日社会研究
在日経済研究
朝日・韓日研究
朝米研究
民主主義研究
コラム
資料室
研究所紹介
 

今週のニュース

北朝鮮民主化における当面の課題

2006年7月20日執筆
元朝鮮労働党書記 黄長Y(ファン・ジャンヨプ)

 去る10月9日午後、朝鮮労働党元秘書(書記)で北朝鮮民主化委員会委員長の黄長Y先生が心臓麻痺で急逝された。心からの哀悼をささげ故人の冥福をお祈りします。
 黄先生は、当研究所設立直後の2006年7月に北朝鮮民主化の方向を指し示す貴重な論文(原文―韓国語)を寄せてくださった。
 この論文で黄先生は、北朝鮮民主化が世界の民主化実現で避けて通れないプロセスであると強調され、その鍵は中国が握っているということを明確にされた。そればかりか中国を北朝鮮から切り離す方策まで具体的に提示された。最近の中国の動きを見るにつけ、この指摘がいかに正しかったかが分かる。
 以下では、この未公開論文の全文を翻訳紹介し、北朝鮮民主化の一助としたい。

 本文

 北朝鮮を民主化する上で、まず解決しなければならない問題は、金正日独裁体制を除去し、市場経済を導入することだ。これは結局、中国式に改革開放を実現することを意味する。
 北朝鮮人民の飢餓と貧困、過酷な人権蹂躙と韓(朝鮮)半島における戦争の危険など、北朝鮮問題と関係するあらゆる禍根は、金正日軍事独裁政権にある。金正日軍事独裁政権をそのままにしては、提起されるいかなる問題も解決されないが、金正日政権が除去されさえすれば、、核問題をはじめとしたあらゆる問題を解決することができる。
 金正日政権の命脈は中国が握っている。中国が金正日独裁集団との同盟関係を断ち切れば、金正日政権はすぐに崩壊する。しかし、中国が金正日政権と同盟関係を維持している限り金正日政権は倒れない。すなわち中国が同盟関係を断ち切った条件の下では、金正日政権に対して中国は100%影響力を持つが、同盟関係を維持している条件の下では、北朝鮮に対する影響力は0.01%もない。
 これは中国が、25年以上も改革開放を通じて立派な模範を示し、陰に陽に共に改革開放に進むことを訴えてきたのに、金正日が絶対に受け入れていない事実一つとっても明らかである。中国は金正日集団と同盟関係を維持している限り、金正日の要求を代弁せざるを得ない。しかしだからといって中国が自らの根本的利益までも譲歩するものではない。
 今日における中国の根本的利益は、経済の高度成長を継続し、早く中国の近代化を実現させ、量的側面だけでも先進国家米国に追いつくことだ。
 現状を維持すれば、米国式自由民主主義が鴨緑江まで入ってこられないばかりか、韓国における親北反米勢力も強化される。親北反米勢力はそのまま親中国勢力である。ここに中国が、国際犯罪集団として悪名高い金正日集団と同盟関係を引き続き維持している理由がある。
 中国は今、自由民主主義が入ってくるのを非常に警戒している。それは自由民主主義が中国の統一と安全を破壊する危険な要因となるからである。中国が長期にわたり高度成長を続けている最も重要な秘訣は、大きな枠組みで計画的、均衡的発展の原則を堅持しながら、その枠組みの中で自由競争と市場経済原理を積極的に発展させているところにある。
 これはとりもなおさず、個人中心の民主主義の利点と集団中心の民主主義の利点をそれなりに結び付けていることを意味する。こうした体制を引き続き維持するためには、必ず唯一党の指導に基づいて社会の政治思想的統一を保障することが必須条件となる。万一中国に自由民主主義が浸透すれば、個人主義的自由主義が助長され唯一党の指導体制が崩れることとなり、高度成長を保つことが難しくなるばかりか、国が分裂して大きな混乱がもたらされる可能性もある。
 こうしたことから、自由民主主義の浸透を防ぎ、人民の政治思想的統一を守り、唯一党の指導体制を引き続き維持することが、中国の死活的利害関係となっているのである。
 現在北朝鮮が自由民主主義体制に転換することは、中国が反対しているために困難であるばかりか、そうした条件が初歩的にも準備されていないために大きな社会的混乱をもたらすことになる。この場合結局、韓国が北朝鮮を吸収統一せざる得なくなり、両者の同質性保障のための莫大な統一費用問題が深刻に提起されることとなる。それゆえ、現在における北朝鮮問題解決の最も現実的方法は、北朝鮮が中国式に改革開放に向かうようにする道しかないといえる。
 北朝鮮が、中国式に改革開放すれば、北朝鮮問題の基本はすべて解決することができる。
 第一に、北朝鮮問題がおのずと解決され米国の憂慮が解消され、
 第二に、自由民主主義浸透の心配がなくなり、中国の根本的利益に合致し
 第三に、北朝鮮人民の飢餓と貧困が解決され、人権問題も解決に向かうので北朝鮮人民の利益に合致し、
 第四に、南北分断の苦痛が清算され、祖国統一の局面が大きく開かれるので韓国国民の利益にも合致する。
 万一北朝鮮で、金正日独裁体制が除去され市場経済が導入されれば、現在の分断ラインをそのままにして韓国の資本と技術が自由に入り、人材も自由に送れ、北朝鮮を助けることができる。そうなれば、10〜15年の間に南北間の同質化問題も解決し、最終的統一問題も順調に実現できるはずだ。一部の人たちが心配する中国による北朝鮮の吸収可能性はない。中国にとって北朝鮮の吸収は、国際的にも国内的にも負担となるだけであるからだ。
 金正日独裁政権を除去し、北朝鮮を中国式に改革開放させる鍵は中国だけがが握っている以上、北朝鮮を中国式に改革開放させることは、国際民主社会に対する中国の義務であると言える。それゆえ米国をはじめとする国際民主主義勢力は、中国が国際民主社会の前に負っている義務を遂行するよう強く求めなければならない。それと共に自由民主主義の浸透に対する中国の憂慮を払拭し、金正日集団と同盟関係を維持して得られる利益よりももっと大きい利益を中国に保証しなければならない。米国は中国を民主主義陣営に引き入れ、世界の民主化に寄与できるよう緊密に協調する大胆な措置をとらなければならない。
 現代は民主主義の世界化時代だ。覇権主義に基づく世界化は、歴史発展に逆行する時代錯誤的な古い思考様式なので、これを容認することはできない。世界の民主化、民主主義的世界化は、民主主義的国際同盟を世界的に拡大していく道以外にない。米国が世界民主化の発展を主導する栄えある地位を占めて引き続き発展していく道は、民主主義的国際同盟拡大の先頭に立つ以外にない。
 米国が中国と協調し、北朝鮮問題を速やかに解決することは、世界民主化の偉業遂行で過去の覇権主義的制約性を克服し、新しい境地を切り開く世界史的模範となるだろう。それは米国と中国の根本的利益に合致するだけでなく、世界の民主化偉業遂行で偉大な転換の契機として記録されるに違いない。

(翻訳 朴斗鎮)

 
著作権について

COPYRIGHT©Korea International Institute ALLRIGHT RESERVED.
CONTACT: info@koreaii.com