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黄長燁元書記が指摘した「太陽政策3つの欺瞞」

コリア国際研究所編集掲載

2017.6.15

 6月月15日は、17年前に韓国の金大中元大統領と北朝鮮の金正日総書記が「6・15南北共同宣言」(2000年)を発表した日だ。この共同宣言は、北朝鮮を助ける「太陽政策」の象徴となっているだけでなく、「(金大中の)国家連合と(金正日の)低い段階の連邦制に共通性がある」として「その方向で南北統一を進めるとする連邦制統一の綱領」となっている。 
 この「宣言」は、金総書記のソウル答礼訪問を前提として採択されたものであるが、彼は結局それを実行せず、この宣言を空手形にしてしまった。そういった意味でこの宣言文は「詐欺的文献」といわれても仕方のないものだ。
 金大中元大統領は、この「宣言」導出のために表で4.5億ドル、裏を合わせると10億ドル近い大金を金正日に送ったと言われている。そしてノーベル平和賞を手にし、私だけが受賞して金正日総書記には申し訳ないと語ったりもした。
 金大中政権を引き継いだ盧武鉉政権も、北朝鮮に対する経済支援を続け「6・15宣言」の具体化である「10・4首脳宣言」(2007年)を導出し「連邦制統一」への具体的一歩を踏み出そうとした。この時の大統領府秘書室長が現大統領の文在寅氏だった。
 金・盧両政権が北朝鮮に送った資金と物資の総額は、公表されたものだけでもおよそ1兆円に達した。この資金が北朝鮮の核・ミサイル開発に投入され、今日の北朝鮮核危機が作りだされたというのはいまや国際的定説となっている。
 従北・左派勢力が登場させた文在寅政権は、この「太陽政策」を引き継いでいるばかりか、この政策を後戻りできないものとするために、権力中枢に公然と従北派を引き入れ主要政府機関のトップすべてを親北派で固めた。
 以下では、この「太陽政策」に対する理解を深める一助として、故黄長燁朝鮮労働党元書記が過去に語った「太陽政策の3つの欺瞞」について紹介する。
 (表題はコリア国際研究所による)

太陽政策3つの欺瞞

黄長燁

 金正日集団(注:現在は金正恩集団)の対南(韓国)政策の基本は何ですか。それは一言で言って韓国に親北反米政権を樹立し連邦制統一を実現しようということです。だから韓国の親北反米分子を中核とする集団は金正日のこの主張に同調するのです。
 金正日を助ける親北反米分子の集団は太陽政策集団です。なぜそう言えるのか?それは太陽政策こそが金正日の政策をそのまま受け入れた政策だからです。
 彼らはこの立場が正しいのか正しくないのかという問題をしきりに弁明するので、その言葉を聞いただけでは彼らの正体を明確に知ることはできません。言葉ではなく金正日との関係がどうなのかを見て判断するのが一番確かです。金正日に対する態度が重要なのです。
 では太陽政策には金正日を助けるうえでどのような欺瞞が込められているのでしょう。
 それは第一に、平和の仮面をかぶっているということです。だから彼らは平和の価値よりも大事な価値はないと主張します。
 金正日は韓国に戦争恐怖症を植え付けて北朝鮮に屈服させ、金正日を助ける人たちに支持が集まるように仕向けています。それゆえ韓国の親北反米勢力の政治的基盤は韓国内部の戦争恐怖症にかかった人たちだといえます。しかし戦争恐怖症にかかっているとは誰も言いません。
 だが実際は戦争恐怖症にかかっているのです。金正日が核実験をなぜするのでしょうか。戦争恐怖症を助長するためです。それなのに一部の人たちは、金正日が核実験をするのはむしろ保守陣営に助けとなるなどと考えています。情けない限りです。
 どうして金正日が韓国の保守陣営に利益になることをしますか。ありえないことです。核実験によって一時は韓国の親北反米勢力が弁明しづらくなることもありますが、根本的には親北反米分子たちの政治的基盤である戦争恐怖症の人たちを増やすことになり、彼らが主張する「正当性」(注:融和政策の正当性)を強化することになるのです。
 戦争恐怖症にかかった人たちは悪い人たちではありませんが、しかし多くの人たちが戦争恐怖症にかかっています。また急に金持ちになったので、それをすべてなくしたらどうしようとの心配から恐怖症にかかる人もいます。
 そうした人々は民主主義に反対している訳ではありません。しかし「金正日が悪いのは分かる。だが戦争が起これば大変だ」と考えていることが問題なのです。そのように仕向けるのが金正日の戦略なのです。戦争恐怖症にかかった多くの人たちを脅し、親北反米勢力を支持するように仕向けるのが金正日の戦略なのです。
 金正日はいつも言っていました。「党中央委員会の国際部、外務省、統一戦線部などこの3つの部署だけが平和統一について語り、他のすべての部署は戦争準備だ」と。私が北朝鮮にいた時、平和統一について話す人はいませんでした。
 北朝鮮の平和主義というのはすべて韓国にいる人たちを騙す戦術です。だから韓国の太陽政策推進者たちは「北朝鮮に行ってくると韓(朝鮮)半島の戦争危機はなくなった」というではないですか。彼らは戦争を恐れる人たちをかき集めて欺瞞しているのです。金正日はそれを巧妙に仕組んでいるのです。
 平和を守るためにはどうすべきでしょう。6・25戦争(朝鮮戦争)の時に金日成に譲歩して平和を守ったのでしょうか。違います。6・25戦争で金日成の侵略から韓国を守ったのは韓米同盟なのです。その後北朝鮮がなぜ戦争を仕掛けてこないのですか。それはほかでもない韓国に米軍が駐留したからです。
 金日成はいつも「韓国に米軍がいる限り戦争はできない」と言っていました。毛沢東もそうでした。彼も米軍が韓国にいる限り絶対に戦争してはいけないと言っていました。しかし全世界で米国に反対する勢力が大きくなり、あちこちで米国を反対する戦いが起こって米国がどうしてよいのか戸惑う時には積極的に戦争を支援すると言っていました。
 だから、金正日政権の基本戦略は、米軍を撤収させ、韓国に左派政権を樹立し、特殊部隊で韓国の要所を占領させた後に連邦制を宣布しようというものです。従って特殊部隊が基本戦略部隊であり核兵器が基本武器ではありません。金正日はいつもそのように強調していました。
 平和主義の看板を掲げる太陽政策というのは、金正日が韓国国民を精神的に武装解除させようとする政策なのです。そして主敵の概念をなくさせ、敵(北朝鮮)が先制攻撃しても反撃できなくして(例:2002年金大中時代の西海海戦)軍人たちを死なせるのです。
 これは金正日の奴隷となっても平和でありさえすればよいという思想以外の何物でもありません。従って平和至上主義を騒ぎ立てる人たち、太陽政策を主張する人たちは、金正日の欺瞞的「平和戦略」を助ける人たちと断言することができます。

 *注:文在寅大統領も最近ソーシャルメディアに「私は最もいい戦争より、最も悪い平和に価値を付与したい」というコメントを残した(朝鮮日報日本語版2017・6・5)。「最もよい戦争よりも最も悪い平和がよい」というのは「平和なら奴隷となってもよい」という意味と同じだ。

 第二に太陽政策は「民族主義」の仮面をかぶっています。
 金正日は「我々どうし」で自主的に統一しようと主張します。自主的という意味は何ですか。米国に反対すること、米国を排除することです。元来共産主義者は民族主義を認めません。それなのに祖国とか民族とかを主張するのは、北朝鮮の反人民的首領独裁を隠し、米国を主敵として排除させようとするものであり、韓国の人たちを欺瞞するための術数にすぎません(注:北朝鮮政権は民族愛を強調しながら民族を虐殺してきた)。
 したがって、彼らのすべての戦略は、韓国と米国との関係を悪化させ、日本との協調関係を悪化させることが目的なのです。反米・反日の方向で韓国国民を欺瞞しようとするものです。だから「米国は帝国主義国家である。南朝鮮は米国の植民地だ」と主張するのです。また日本についても「日本の奴らは軍国主義で韓国を再び侵略しようとしている」と主張するのです。
 韓国は米国の植民地ですか?そうではありません。韓米同盟があり日本との協調があったからこそ漢江の奇跡が起こったのではありませんか。
 金日成はいつも韓国の政権はカツ(朝鮮王朝時代に成人男子がかぶっていた笠。身分によって異なる)の紐が命綱となっている政権だと言っていました。片方の紐は米国でありもう一方の紐は日本だと。この二つの紐を切れば口でフーと吹いても笠は飛んでゆく。だから反米・反日闘争が愛国主義闘争のように宣伝するのです。

 第三に太陽政策は民主主義の仮面をかぶっています。
 太陽政策論者は、誰よりも民主主義を叫びますが、それは偽の民主主義です。民主主義とは国民が主人となる制度です。ところが北朝鮮住民の人権擁護に最も消極的なのが太陽政策論者たちです。

 注:韓国では2016年に北朝鮮人権法が施行されたが、国会に法案が提出されてから施行までに11年もかかった。文大統領が所属する当時野党だった「共に民主党」など左派政党が反対し、足を引っ張ってきたためだ。

 注:太陽政策は、世界で例を見ない北朝鮮政権の住民に対する人権侵害を黙認する。それは昨年10月、宋ミンスン元外交通商部長官が回顧録で「2007年に国連の北朝鮮人権決議案の票決を控え、大統領秘書室長だった文在寅(ムン・ジェイン)氏が北朝鮮に聞いてみようと言った」と明らかにしたことだけを見ても明白だ。この時韓国は国連の北朝鮮人権非難決議に棄権した

 また韓国内部で対立を煽るのも太陽政策論者たちです。このような人たちを民主主義者といえますか?
 金正日を助ける集団の政策が太陽政策です。いま太陽政策を反対する戦いは民主主義を守り国家の運命と民族の運命を守る戦いなのです。

以上

 
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